東南アジアなどの発展途上国では急速に人口が伸びていますが、その反面、新世代を教育するためのリソース不足という問題が顕在化しています。

その問題の対策として、IT(情報技術)を駆使した教育システムEdTechサービスが注目されています。

教師、教材不足という足かせ

日本の約4倍の出生数があるインドネシアは、若年層の人口が増えてきている国であり、これからの発展が期待される国の一つです。

しかし、国の将来を担う子供たちへの教育が十分に行えていないのが現状です。その原因は、明かな教師、教材などの不足にあります。これから成長していく世代の教育が上手くいかなければ、今後拡大が期待されているIoTやAIなどをメインとし近代産業が育ちにくくなり、インドネシアの今後の発展を阻害しかねません。

LINEによる教育現場の改革

インドネシアの教育問題に対し、ITを用いて対応にあたっているのがモバイルメッセンジャープラットホーム市場で大きなシェアを占めるLINE株式会社です。地元ベンチャー企業であるルアングルと提携し、今年1月に公式アカウント「LINEアカデミー」を立ち上げました。このLINEの公式アカウントを利用して、ルアングルが教育コンテンツを提供するというシステムを構築したのです。

コンテンツの内容としては、数学、化学といった主要科目の3分動画を無料配信することからサービスをスタートし、ゆくゆくは収益の見込める事業へと発展させる見通しです。これにより、インドネシアの大学進学率を高めることで、人材育成に貢献する狙いがあります。

フィリピンでは英クイッパーが教育を下支え

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同じく今後の発展が期待されているフィリピンでは、イギリス発のスタートアップ、クイッパーが教育の基盤を支えています。こちらで展開されているのはクイッパービデオというサービです。プロの講義をスマートフォンやタブレットPCで閲覧できるサービスで、年間一人あたり3600ペソ(約8000円)で利用できます。

また、このコンテンツ内で宿題を作成したり、成績のマネジメントを行ったりすることもできます。このサービスにより、生徒一人ひとりの強みと弱みを効率的に把握することができるため、より多くの生徒へのケアが可能になるでしょう。
クイッパービデオ

EdTechは今後もアジア諸国を中心に広がる

LINEアカデミーやクイッパービデオなどのEdTechサービスの利点は、安いサービス料で高いクオリティの教育を平均的に受講できることです。

今後もアジアを中心にその需要は伸びる見込みがあり、サービス内容もより改善されていくでしょう。人材の基礎になる教育が充実すれば、世界の変化に柔軟に対応していける人材が育ち、アジア全体の成長につながる可能性があります。